本会議場音響映像設備改修
某所 庁舎内議会事務局管理の、本会議場音響・映像設備の改修工事の依頼を請けました。
永く音響設備を改修していない自治体様で、下記のようなお悩みをお持ちでした。
1.改修したいが経費は押さえたい。
2.数年前にハイビジョン映像設備を導入し、庁舎内・分所他に映像配信をして無駄にはしたくない。
3.傍聴席にも映像提示して、分かりやすい本議会としたい。
4.発言者のマイクは、周囲も本人もオンになっていることが明確にしてほしい。
5.音質をよくしたい。
6.運用上、登壇席を増設したい。
7.担当者が変わると操作がなかなか覚えられない。
主にこのようなお悩みでした。
また、実際に現場を調査するとマイク設備がダウンした時のバックアップ機能が無いことが判明。
予算が青天井であれば、いかようにでもシステム構築できるのですが
まず、今お使いのハイビジョン映像設備を確認したところ、フルハイビジョンカメラであり、使用時間もさほど長くなく、故障の様子も見られないため、既設のハイビジョンカメラを無駄なくそのまま採用することにしました。
ところが、このカメラを操作するコントローラーが、お悩みの7であるように、ボタンをたくさん押さないとカメラの制御ができない仕様となっていました。いかにシンプルな操作にするか・・・今のままだと議会事務局の操作員が2名必要になってしまいます。そんなに広いスペースがあるわけでもなく、人手もさけないのが現実。
議会事務局の操作員は、発言者のマイクをオンしたのちに、カメラの操作をして・・・・と大忙しだった様子。
加えて、配信機器が不安定である情報を得て、実際に稼働させたところかなりの発熱量。これは・・・熱暴走の可能性もあるため、この配信機器は改修対象としていただきました。当時はメーカー希望小売価格が120万くらいしていたと思いますが、技術進歩により新品が40万円ほどで可能に。
モニターの使い方も、カメラ1用、カメラ2用・・となっており、え?どっちを配信しているの??(上写真)と不安なまま運用されていたようです。
ところが、改修後には同じディスプレイをつかうも、1つのモニターに二つのカメラが現在何を映しているのか、現在どちらを配信しようとしているのか・・が容易にわかるマルチビューとして利用。もう一方は配信(録画)している物を受像。つまりエアーモニターとして運用。操作担当者は、このようにモニターを一目見るだけで確認となり安心して操作に集中できるのです。
傍聴席への映像については、ディスプレイ設置位置に悩みました。お客様側からの図面提示によるディスプレイ要望位置は議席の上。つまり議員さんの頭の上にディスプレイを設置してほしいとの要望でした。もちろん不可能ではないのですが、本議会場は天井高が高く吊り下げる長さが長くなるほど振れ止めが必要となり、経済的ではありません。議員さんの頭の上に設置・・となると、設置後にクレームとして出てしまう可能性も。元に戻すのにもかなりの予算を必要としてしまいます。実際の現場で、ディスプレイの大きさや見栄えや見通し上邪魔になること等、パネルを用意して説明し、打ち合わせを重ねました。大型ディスプレイの存在感や映像提示による分かりやすさの演出はとても大事なのですが、見栄えや見通しの感覚は設置してからでないとなかなかイメージし辛い点です。
写真では伝わりにくいかもしれませんが、ディスプレイの左側は突き出していて右側は壁面に近く、壁面と斜めに固定してあります。傍聴席から見えやすい角度に固定してあります。
簡単に増設できるように接続ジャックを設け、臨時の発言席を利用した運用も可能に。
これらの工夫に加えて、マイクセレクターとカメラ操作の連動制御を行うようにしたことで、カメラのコントローラーは実質操作不要になり、1回の操作でマイクのオンとカメラの向き・ズームが連動するようになりました。マイク設備については、国産の後発メーカーにより経済的かつデジタル音声処理によりノイズやハウリングのない音場の構築ができました。併せてバックアップとしてワイヤレスマイクを併設し、万が一の議席マイク設備のダウンや、近隣小学生の議会見学時の質問用マイク(実はこちらが本命?)としても利用できます。双方の音が必要とあれば庁舎内や遠隔地にも安定して配信されるようになりました。
特に、操作が簡単になった点がとても気に入って頂けました。
2020/6追記
新型コロナウィルス感染拡大防止から、議員議席の間隔を広めたいとの追加要望がありました。使用するマイクの位置を変更しても、マイクの設置位置ではなくマイクの番号にカメラを紐づけているため、容易に議席位置の変更ができました。