子供を守る街づくり
2018/5/8 新潟市にて、また小学二年生の女児が事件に巻き込まれてしまうといった事件が発生してしまいました。
関係者の方々には、心よりお悔やみ申し上げるとともにご冥福をお祈り申し上げます。
この記事を書いている時点では犯人は検挙されていないが、時間の問題だろうと思う。(2018/5/12)逮捕されたからといって解決に至らない点が悲しくて悔やまれる。
※追記 2018/5/14 容疑者(近隣に住む23歳男性)は任意同行の末、犯行をほのめかす供述をし、逮捕となった。それでもご遺族の気持ちは癒えず、やり場のない怒りと悲しみに苦しまれている。
この事件に対しての記事を数件読むと
・夜は人通りが少なく外灯はあるモノの線路は薄暗い状態
・事件当日朝の登校中に、黒い服を着たサングラスをしたおじさんに追いかけられていた
・幼稚園時代は賢くてしっかり者。知らない人について行ってしまうような子ではない。
・大人でも夜一人で歩くのは気持ち悪いと感じるほど暗い場所
・現場付近では3件の不信事件があり、警戒をしていた
警戒中の学区内で、しっかり者の児童が巻き込まれてしまった。
この様な事件が繰り返し発生してしまう現在、
街として、子供として、総合防犯設備士として、どのように対策を練れば良いのだろうか。
子供の目から
黒い服を着たサングラスをしたおじさん・・・・
犯罪企画者は、一見して悪い事をするような人にみえる格好をしないもの。
ごく一般のネクタイをしたサラリーマンであったり、作業服を着てみたり、エプロンをしてみたり・・と、
出来心犯は、通常は準備をしていない。「優秀な監視者の目がない」「ターゲットがある」「犯罪企画者」の3つが同時に重なると、出来心という言い訳を持ち犯罪者となる。(日常活動理論)
サングラスをして黒い服を着たおじさんという、特徴的な格好をしたのが今回の容疑者であったのなら、捜索範囲はかなり狭まるだろう。
子供の連れ去り事件に限らず検挙されると周囲の住民は「普通の人」「そんな人とは思えない」と表現する。
私自身も、日々の活動の中で子供たちに、悪い大人と良い大人と区別する方法知ってますか?と聞くことがある。
「サングラスしてる!」・・とか、「怖そうな人」・・などの答えが返ってくるが、実は大人から見ても区別が難しいんだ・・と説明している。
学校の取り組みとして、防災マップや防犯マップ、安全安心マップ作りは、効果が大きいと思う。
低学年から高学年それぞれの視点で作成し、情報共有を行ってほしい。
事故の起こりやすい見通しの悪い交差点や、この前危なかった・・・等の情報共有は、防犯だけでなく事故から身を護るにも良いだろう。
あそこのおじさん変な人~とか、なんかヤな雰囲気よね~なんていう噂でも構わない。(噂話でとどめておいてほしいが・・・)
追記2018/05/15:この度の新潟の事件では、周囲でも未遂に終わったような事案があった様子。安心安全マップ作りに生かせる仕組み作りはできないだろうか。
広島県警察犯罪発生マップでも、声掛け・つきまとい・露出等を、地域ごとに絞り込んで確認できるが、過去一か月間に限る。
犯人・容疑者の人権等にも考慮しての事や、情報が溢れすぎて分析できなくなる等を考慮してのことだと思う。
季節・時間帯等によっても犯罪の動向は変わってくることも分かっている為、安心安全マップ作りには一年分の蓄積結果や、こどもが分かりやすいように情報整理をした指導をお願いしたい。
沼地や貯水池、大雨で増水時には危険であることなども含めて警戒心を持つことが大切。
度胸だめしにチャレンジしない様に大人も注意を促したい。
防犯ブザーも有用だが、なにせ高学年になるほど携帯率が低くなってしまう。
新入生の時に買い与えられ、その後約2~3年で壊れると、新調しないのではなかろうか。
十分に大きくなったから・・・と油断し、携帯しないパターン。
広島では小学6年生がバックに詰められて誘拐された事件があった。
ランドセルに防犯ブザーをつけておくことはできていても、塾のカバンに防犯ブザーをつけていないのだ。
また、防雨対策のされていない防犯ブザーも多く、傘をささずに笑いながら下校する小学生の防犯ブザーは、錆や電池の液漏れによって壊れている。
広島市では2005年矢野小学校の事件後、11月22日を子供安全の日とし、毎月22日に防犯ブザー点検をしているとの事だが、それはランドセルの防犯ブザーの事だと思う。
犯人はスキを狙ってくるのだ。
防犯ブザーを鳴らす練習も大事。特に不審者が報告されたような警戒中であれば、なおさらブザーの紐に手をかけて通学しましょう!等の特別警戒態勢を指導してほしい。
大人の女性も、是非防犯ブザーを携帯してほしいと思う。流行になればなおよい。子供だけでなく親もみんな持てば、きっと子供の持ち物だから・・と嫌がらない。
かわいいキャラクターである必要はないが、丈夫で大きな警告音が鳴り、できれば2つぶら下がっていれば最強!(理由はナイショ)
このページを読んでいるのはきっと大人なはず。あなたから是非!防犯ブザーを携帯してください。
地域ボランティアの目として
犯罪企画者を事前に特定できないだろうか?
あの人があやしい・・・・この人も・・・・・
これもまた人権問題や、プライバシー配慮の問題もあり、なかなか難しそうだ。
特に、声かけ情報・・についても、昨今では登下校中の児童に「おはよう!」「おかえり!」と声をかけると、声かけだ!と通報されるケースもあるという。
良かれと思って挨拶した地域の方もたまったもんじゃない。私も通勤中に【怪しい!】なんて思われたくもないし(笑)
難しい。地域の方の中にも犯罪企画者が紛れている可能性はゼロでない。
ふざけて防犯ブザーを鳴らしながら登下校する小学生もいれば、
ふざけて、「声掛けられた!」と騒ぐ小学生は、大人から見ても見分けがつかない。
この点、大人も子供も、古き良き日本のコミュニティーがあったころよりも、疑心暗鬼にならざるおえない時代になったと思う。
お節介のような感じもあった情報通の奥さまや
田んぼや畑から通学路を見守ってくれていた農家の方
小規模地域のコミュニティーの要だったはずの酒屋・床屋・駄菓子屋・八百屋
おかずや醤油の貸し借りとか(笑)
優秀な監視者の目として、一番の要はやはり地域の住民である。
危険な事、スリルがある事ときちんと理解し、距離をおいたり叱ったりできる大人。
その次の補助的な役割としてあるのが、防犯カメラと言える。
弊社でも防犯カメラを扱っているし、広島市からの補助金を受け通学路に防犯カメラを設置するケースも少なくない。
ただ、防犯カメラがあるから安心・・と思ってはいけないと思う。なぜなら、人の目にも防犯カメラにも死角があるからだ。
一時期、学校でのイジメが問題になった時、学校中にカメラを付けたらどうか・・なんて議論があった。
しかし現実にはカメラの無い所でイジメは続いたし、ネットいじめの様に、より大人が気付きにくい所へ移行してしまった。
総合防犯設備士として
だからと言って、方法がないわけでは無い。
防犯カメラは、町内会や通学路だけについているわけでは無く、コンビニエンスストアやスーパーには必ず設置されている。
自宅に設置してあるケースもあるだろうし、公園などにも増えている。
これら私設の防犯カメラは、興味本位で公共の場を撮影してはいけないのだが、たまたま公道が映っていて、たまたま犯人らしき人物が・・・といったものが重要なのだ。
ほぼ警察官の努力で集めた画像だと思う。この様な地道な映像データの回収が捜査の切り札の一つになっている事は間違いない。
アボアエンジニアリングでは、10数年前から地域防犯プロジェクトを呼掛けている。
・防犯カメラの画角を工夫しましょう。
・玄関灯は常夜灯のように朝まで点灯させ、地域全体を明るくしましょう。
・セコ〇やアルソッ〇で自宅だけを護るのではなく、地域全体護る防犯を考えましょう。
と訴え続けている。
この内容は、弊社にとって売り上げに貢献しないのは残念ではあるが、ご自身でできるお金を使わず(電気代のみ)防犯レベルを高める提言であり、手軽に地域の防犯レベルを上げる事ができると自負している。
地域全体が防犯意識が高い事を知らしめるのは、侵入盗(泥棒)が街の雰囲気から仕事(盗み)をする街を決める傾向にある。(別ページにて掲載)
・街全体で子供を護る。
・子供を守る〇〇町
・SOSはここに!
・防犯カメラ設置中
・犯罪者撲滅運動中
・駅から自宅まで3名と挨拶!
・行きかう人を良く見よう、挨拶しよう、明るい〇〇商店街
等の看板や標語を掲示するのも効果があるだろう。看板なので予算もさほど高くない。
住民同士の挨拶運動は、ものすごく効果が高い。
玄関先の花壇が華やかな町は、犯罪発生率が低いという報告もある。
「お宅のお花綺麗ねぇ・・」といった住民同士の会話が多い町は、コミュニティーが強化され、日頃見なれない人がいると意識に残るようになる。
犯罪企画者は、犯行前に挨拶されると顔を覚えられたと認識し、その街での犯罪は諦めるのだ。
町内会の草刈りや、廃品回収。町内会費の徴収。夏祭り、盆踊り、地域運動会、老人会やグランドゴルフ大会。
この様な地域の集まりに積極的に参加してほしいと思う。
「日焼けするからヤダ」
「朝の5分は貴重だから無理」
「仕事があるから無理」
「めんどうくさい」
確かにそうだろう。
しかし、その地域で顔を覚えてもらう事 = 防犯レベルの向上 = 非常時・防災時には硬い絆となるのである。
(よく思い出して!入学式の時の自身を。同級生といえど一番最初は不安だったはず。知人・友人になって初めて居心地が良くなったでしょ。それと同じ)
確かに子供が居ないと面倒くさいかもしれない。が、そのコミュニティーこそが実は自分と周囲を守る最高の盾となる事を忘れないでほしい。
もちろん、大勢の中には犯罪企画者予備軍が潜んでいるという警戒心も解いてならない。
大人であっても被害者となる。(TOPページ下部、警察からのご案内を参照)
・ちかんだけでなく、ひったくり。最近では特殊詐欺。
・自転車カゴに防犯ネット
・歩きスマホをしない。
・夜間の一人歩きをしない。特に夜は後方を警戒して歩く。
・オートロックの玄関でも、共連れによって入館しない様に心がける。
・マンションのエレベーターでは見知らぬ人と一緒に乗らない。先に降りる階のボタンを押さない。
・無施錠の玄関・窓はないか。基本はツーロック
・自転車や車。少しでも離れる時にはロックする。
オレオレ詐欺から始まって、還付金返還や、名前を貸してほしいといった名義貸し詐欺
LINE等のSNSを使った金券や振込詐欺、
分かっていても、被害者が減らないのは、やはり犯罪企画者は心の隙を狙っているからだ。
・なかなか相談できる人が居ない
・怖くて大きな声を出す勇気がなかった(私自身179cm男も満員電車で尻を触られ、声が出ない恐怖を体験した(笑))
・人に相談できない内容
・自分だけがアイドルになるチャンス
最後に、これをやったから犯罪は起きない・・・という考えは通用しない事を追記しておく。残念だが、事故や災害のように犯罪は起きるモノだと考えなければならない。
その犯罪が起きる世界の中で、小さな心掛けの積み重ねが身を守る事につながるのだ。
都会であったり、田舎であったり。早朝の犯罪や昼間、夕方や夜間等、シチュエーションも異なる。
防犯カメラは、人間の代わりに寝ずに監視・記録をしてくれるが、故障する可能性はゼロではない。鳥の巣ができたり、植樹の枝で邪魔されることも少なくない。
看板も年月が経過すれば色あせ、風景に同化してしまう。
見守ってくれた地域の人も、歳を重ね身体は重くなる。
落書きが多い街は、落書きが増え、
窓ガラスが割れたまま放置しておけば、割れ窓は増える一方。(割れ窓理論)
犯罪企画者は、常に新しい手口を模索し、チャンスを伺っている事を、我々は忘れてはいけない。
陳腐化しない様に工夫し、次世代に継承し、地球環境などにも配慮しながら防犯だけでなく、防災面でも訓練が必要だと思う。
凶悪犯となれば事件解決に向けて〇〇会社が情報開示する様になると思うし、その仕組みを開示すると、犯罪者は逆に回避策を模索してしまう。
時効が無くなりDNA鑑定や指紋データベースが進むことで、犯罪者を取り囲む包囲網は確実に狭まっている。
犯罪者になってしまうと、その後の人生ろくなことにならない事を周知するような報道で、マスコミは犯罪抑止の啓発活動をしてほしいと思う。
地域コミュニティーが希薄になっている事も考えると、コミュニティリーダーだけでなく次世代を担うリーダーとの交流の場が必要とされているように感じる。
防災への関心が高まっている事は、コミュニティを再構築するチャンスとも考える事が出来る。防災と防犯は車の両輪。人はコミュニティの中でこそ安心を実感することができるのだ。
犯人検挙や法整備、技術革新によってこれまでの被害者と被害者の家族・関係者の心が少しでも癒えます様に・・・・