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悠仁さまの通われる中学校侵入事件

2019/4 平成から令和への改元を間近に控える中、皇位継承順位3位の悠仁さまが通われている中学校にて机に刃物が置かれる事件が発生した。ニュース程度からの情報しかないため、新情報があれば更新していきたい。

とても厄介な事件だと感じる。

皇室関係者が通う・通わないは別として、学校は不特定多数の出入りが非常に多い施設の一つ。
かつ新年度が始まる前後は、関係業者の出入りは非常に多くなること、大学の付属施設であるため、単一の中学校以上に人の出入りがあること。また学校という性質上、地域に開かれた学校(家庭や地域社会と連携・協力する学校という意味)という延長から図書館や学生食堂などを一般開放している学校も増えてきているため、不特定多数の出入りを完全に制御するのは難しい施設と言える。今回の事件では、2001年大阪府で発生した大阪教育大学附属池田小学校殺傷事件を思い出させられた。
一番厄介な事件。テロや確信犯。捕まってもいい、自らが死ぬことも問わない。
防犯カメラでは、その行動の記録は撮れても、事件を未然に防ぐことができない点がとても厄介だと思う。
完全に外部の者の犯行であれば、ある程度の防犯性能の強化は可能だが、悠仁さまの座席まで把握してた事を考えると、内通者の存在や元職員等の人的な情報漏洩が起因しているとなると、護る側は困難といえる。
防犯カメラの映像だけでは、映っている画像の人間が不審者か否か、なかなか判断できないのである。普通の防犯カメラを増やしても意味はないだろう。防犯カメラのケーブルが切断されていた点も確信犯といえる。
一般的な防犯カメラシステムでは、カメラが破壊・切断されると監視室で「VIDEO LOSS」という表記なり警告が発せられる。よほど危機感がない限り、この警告(アラート)は機器の故障として認識されてしまう。警備員から、ああ・・・またか・・と(逆に緊張感ありありだと長時間画面を見てられないという現実・・・・)
防犯カメラシステムのアラートから、カメラへの攻撃か機器の故障かを判断をする前に、複数人で現場に急行するオペレーションが必要といえる。さすまたを持って駆けつける・・・だけでは防ぎきれない時代になってきている。防犯カメラのケーブルが切断される状態であった点も残念でならない。
現在の国産防犯カメラのほとんどは、特殊な取り付け方法をしない限り、外部にケーブルが露出しない。また、配線についても切断防止を考慮しケーブルプロテクター等で保護することが常識的に行われている。
高枝ばさみでケーブルを切断されるような防犯カメラの設置をしていた点は、要人警護の点からはミスといえる。
海外製品等の格安防犯カメラは「映ればいい」に少し手が加わった程度のモノが多数流通しており、経済的な点を優先させるか、防犯性能を優先させるかは、我々防犯設備士の提言が必要となる点の一つだと思う。やたらめったら高価・高機能の防犯性能が必要とは思えない。だからこそ、入念な打ち合わせが必要となる。

現在、防犯カメラからの映像を解析して、犯罪企画者であるかどうかを予測する技術はすでにある。
ロシアがどうの・・・、国産もあったように思ったが、今は思い出せない。眼球やまぶたなどの動きから、顔から「攻撃性」「緊張」などを判断・予測できる技術。ウン百万だとか。東京オリンピックなどでも一部採用されるのではないだろうか。どんなに警備員を増員しても、その警備員も人間であり、必ずしも守ってくれるわけでは無い点や、人間であるゆえにトイレも必要、食事も必要、長時間の緊張もできない。
このようなデジタル新技術を早々に取り入れ、アナログのさすまたの運用も併用し、危機管理マニュアルを日々更新していく時代となった。早々の逮捕に至った警視庁の防犯カメラ画像追跡技術から、われわれはもっと学び取りたい。

そもそも、ヘルメットが茂みに捨てられていたのなら、ヘルメットから毛髪やら汗やらを検出しDNA分析を行って、過去の逮捕歴やらと検証・・・・は数時間でできたことと思うし、ヘルメットに残された痕跡から逮捕に至った報道がされないため、実はこちらが本命ではなかろうかと思っていたりする。ハロウィンで賑わう渋谷で、軽トラックを横転させた事件。4万人の中から4名の主犯格を逮捕した事件でも活躍した、警視庁のSSBC(捜査支援分析センター)が、附属中学校からその周辺・駅等の防犯カメラや目撃情報をもとに犯人を特定、犯行後3日のスピード逮捕となったとのこと。警視庁の捜査員が中学校周辺に設置してある防犯カメラの映像を集めて回って分析したんだなあ・・と感心します。周囲の防犯カメラは、設置者・目的・向き・画角・メーカーが異なり、録画データの取り出し方法も、入手メディア(DVD・USB等)も再生方法も異なるため、大変だったことでしょう。

大型施設や、駅等に入ってしまえば、今の防犯カメラの性能はすばらしく、特定の人物を録画データから追跡することはかなり簡単になってきている。どこから入ってきて、どこを通り、どのホームのいつの電車に乗ったのかまで数秒で検出されるし、現在は電車にもカメラが設置されているため、何をしていてどこで降りたかも把握可能といえる。我々、地方に住む総合防犯設備士は、このような事件からやはり地域防犯が肝だと学ぶことができた。

なかなか地方でウン百万のシステムをポンポン導入するほど警戒するシーンは多くない。最新技術は数ヶ月で更新され、犯行手口はその最新技術の隙間を狙い日々研ぎ澄まされてしまう。犯罪は必ず起きる事が前提で備えなければならない。私が目指す防犯は、例えて言うなら「緊急車両に道を譲る一般車」。日々それぞれが違う目的で道路を走行しているが、いざ緊急車両が近づくと皆が協力して道を譲る。防犯は、それぞれが自己を守る目的で設置するが、その全てが高性能であったり、犯罪企画者の顔までくっきりはっきり映らないとイケないわけではない。犯罪企画者の背格好・服装・歩き方がある程度記録されていれば、他に設置された防犯カメラと連携することができるのだ。
よほど大事件でないと、複数のカメラ映像の分析を行わないだろうが、防犯カメラによる犯罪企画者の検挙率が上がることが防犯につながるのであれば、アボアエンジニアリングの仕事はとても意味があると思う。

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